流言
流言(りゅうげん)とは、正確な知識や情報を得られず、明確な根拠も無いままに広まる噂のこと。風説、流説ともいう。ある一部での話が連鎖的に広まり、それがやがて全体に広がっていく形態を取る。日本での流言の古い歴史は1600年ごろまでさかのぼる。
トイレットペーパー騒動
日本国内で最も広範に広まった流言に、オイルショックによるトイレットペーパー騒動がある。1973年11月1日午後1時半ごろ、大阪千里ニュータウンの大丸ピーコックストアの宣伝用の特売広告に、(激安の販売によって)「紙がなくなる!」と書いたところ、突然300人近い主婦の列ができ、2時間のうちにトイレットペーパー500個が売り切れたことから始まった。当時は第四次中東戦争という背景もあり、原油価格の高騰により紙が本当に無くなるかもしれないという不安心理から、各地で噂が飛び火し、行列が発生したため、マスコミにも大きく取り上げられ、混乱は全国に連鎖的に急速に拡大した。高度経済成長で大量消費に慣れていた人たちが、初めて「物不足の恐怖」に直面したために起こった騒動とも言われている。ただし製紙過程では紙を乾燥させたり機械を動かすために石油を消費するため、原油価格の高騰と紙の不足は完全に無関係なわけではない。
豊川信用金庫の流言事件
1973年、愛知県小坂井町のあるところで、高等学校|高校生達が自分達の就職先の話をしていて、「豊川信用金庫」が就職先としてどうであるのかという話で盛り上がっていた。内容は、他の高校生がただからかうだけで「豊川信用金庫は危ないよ」と話していた(金融機関を狙う強盗による物理的な危険性を指しての発言だったらしい。なお、その時点では豊川信金は経営的には安定していた)。この女子高校生の話を本当に鵜呑みしてしまった高校生が、親に就職の相談を持ちかけ、親は豊川信金小坂井支店に預金があったため、急いで預金をおろす準備をした。そして、その行動が町中に広がり、豊川信金は全体として17億円が引き出されて活動が不可能になってしまった。
関東大震災における流言
1923年9月1日の関東大震災発生後、実際よりも大袈裟な、朝鮮民族|朝鮮人による略奪や暴徒化に関する流言があった。当時は報道手段が新聞や出版程度しかないため(ラジオ|ラジオ放送開始は大正末期の1925年である)一般市民が最新情報を入手しにくく、流言が広がりやすい環境下にあり、またそれ以前から朝鮮半島出身者が治安上の脅威と考えられていたことによる。詳細は関東大震災#影響|関東大震災の項を参照。その時に流れた主なうわさを以下に示す。#"朝鮮人が井戸に毒をいれた"
"朝鮮人が放火・暴動を起こしている"
"朝鮮人がクーデターを起こすため海軍無線電信所船橋送信所|海軍東京無線電信所を襲う恐れあり"など、具体的な情報ではなく、平時ではただの噂で終わるが、震災による混乱と"日頃から異国人である朝鮮人に抱いていた恐怖心や憎悪"などが重なり虐殺事件へと発展した。 その他の事例
1631年 館林城下において領主大須賀忠次が領土、地位を剥奪された説。発生源は僧侶。
1719年1月? 大阪|大坂にて夜までに蕪を食べないと死ぬ説。蕪が売れに売れ騒ぎに。
1813年 江戸にてそばを食べると死ぬ説。蕎麦屋が困る。
1873年11月28日から発布された徴兵制の文の中の血税の意味の勘違いから血税騒ぎ(徴兵制度に対する暴動)が起こる。各地で警察と衝突し流血の惨事が起こる。
1891年 西郷隆盛生存説。いるいない派で騒ぎに。鍬、カマで切りかかる事件まで発生、後の大津事件の遠因の一つともいわれている。
1910年 ハレー彗星毒|有毒説。彗星が通過する間に空気を確保するためとして、自転車のチューブが爆発的に売れる。このことは漫画『ドラえもん』にネタとして使用されている。
1923年9月(関東大震災直後) 朝鮮人暴動の噂。内務省 (日本)|内務省警保局の在日朝鮮人に対する警戒電報を報道機関が報じたのがきっかけ。関東にて発生。朝鮮人、中国人、社会主義者|社会・共産主義者への暴行・殺人事件へと発展する。実際には混乱に乗じて凶悪犯罪を犯し警察官もしくは憲兵によって逮捕・射殺された日本人もいる。死傷者は在日本大韓民国民団によると6000人以上、国側は、朝鮮総督府による弔慰金の人員から830人としている。
1969年 ポール・マッカートニー#ポール死亡説について|ポール・マッカートニー死亡説
1973年 オイルショックでトイレットペーパー騒動。
1980年代 イラン人(中東系人種)グループによる日本人夫婦襲撃・レイプと被害者自殺の噂。
1986年 『ドラえもん』が「実は全て植物人間である野比のび太が見た夢だった」という内容の最終回を迎えるという噂が流れる。
1993年 甲府信金OL誘拐殺人事件における被害者の父親共犯説。
1995年1月19日前後(阪神・淡路大震災直後) 関西で亀岡市を震源地とする震度7の地震が起こるとの噂。
1995年 全国で『サザエさん (テレビアニメ)|サザエさん』が終わるという話が流れる。また、「最終回の内容」とされるもの(サザエさん一家を乗せた飛行機が海に墜落し、サザエ・カツオなどそれぞれ名前が示した姿に変わり、海に還るなど)も同時期に噂として広まる。なお、当時サザエさんは日曜日と火曜日(過去の再放送)の週二回放送しており、火曜日の放送は実際に1997年に終了した。
1996年9月 志村けん#死亡説|志村けん死亡説。
1998年 インターネット上に公開されていた「僕が考えたドラえもんの最終回」という創作小説がチェーンメールなどを通じて事実上の最終回であると称され、次々にデマが広がった。
1998年10月中旬頃 宮城県で「もうすぐ大地震が来る」とのデマが中学生を中心に広がった。このことは地元紙の『河北新報』にも取り上げられた。子供だけでなく、医療関係者などからも行政機関に問い合わせが来たという。
2003年 佐賀銀行倒産メール事件。
2004年 新潟の地震の後福井でも地震が起きるという噂
2005年 福岡県で地震が起きるというチェーンメールが出回り、ニュースでデマに惑わされないよう呼びかけられるという事態にまで発展した。また、和歌山県でも「11月3日に大震災が起こる」という噂が県内全域に広まり、県民が騒然になった。この騒ぎで役所に問い合わせが殺到した他、ホームセンターなどで防災グッズが飛ぶように売れた。
2005年 フィリピンで旧日本兵の生存者が発見されたとの噂が流れ、マスコミ各社が報じた。大半のマスコミは未確認情報として慎重な扱いに終始したが、中には産経新聞#疑義が持たれた報道、スキャンダル|本人の手書きメモが存在するとの噂を掲載した新聞もあった。 流言の発生条件
流言の発生は、「情報の重要さ」と「情報の不確かさ」(嘘と本当の間に極大値を持つ)の積で与えられるとされる。
どうでもいいこと(重要性低)が嘘に決まっているあるいは本当に決まっている(不確かさ極小)なら、流言発生はない。
大切なこと(重要性高)が嘘に決まっているあるいは本当に決まっている(不確かさ極小)なら、流言発生は噂話や伝言に留まる。
大切なこと(重要性高)が嘘か本当か分からない(不確かさ極大)ときに、流言が発生する。更に、流言が発生するにはある条件を満たしているとより広がりやすくなる傾向があるとされる。
噂が広がる要因のひとつに“話をする人”が挙げられる。その人に信用がある、又は情報をよく知っているなどの条件が重なれば、聞き手はそれが本当であると信じてしまう(検証せずに鵜呑みにしてしまう)、次々と伝播してゆく。さらに、「これはためになる」と思い込むことから、良かれと思って(=善意で)自分の周囲の人や知人に広く伝播させてしまう傾向が強い。パソコン通信時代、「LHAにウイルスが混入」「○○地方から当たり屋グループが」などといった書き込みが伝播したこともある。いずれも善意の情報を装ったものであり、のちのチェーンメールのプロトタイプとも言える。また、社会的情勢が不安定である場合、噂が広がり易いとされる。例えば、石油ショック・不況といった何らかの社会情勢の不安定化、大地震などといった天変地異、伝染病の流行などがその契機になると見られており、人間の、危機や不安に対する自己防衛本能、最悪の場合を想定してそれに備えようとする本性との関連が指摘される。
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大切なこと(重要性高)が嘘に決まっているあるいは本当に決まっている(不確かさ極小)なら、流言発生は噂話や伝言に留まる。 大切なこと(重要性高)が嘘か本当か分からない(不確かさ極大)ときに、流言が発生する。更に、流言が発生するにはある条件を満たしているとより広がりやすくなる傾向があるとされる。 噂が広がる要因のひとつに“話をする人”が挙げられる。その人に信...